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別れる。
その言葉に目の前が真っ暗になった。
固まってしまった俺に、先輩は言葉を吐き続ける。
「……そいつが言ってたけど、お前と付き合えたら、とりあえずホテル連れ込むってよ。」
『、な…っ!!』
固まってしまっていた頭が先輩の言った言葉を理解した瞬間、顔が羞恥で熱くなった。
何それ、あいつそんなこと言ってたの?
そんな俺を見て、先輩は嘲笑うような笑みを浮かべながら言葉を続ける。
「お前のその白い肌とか見てたら、絶対押し倒したくなるって、」
『……何、それ…、』
「どんな顔で抱かれて、どんな顔で泣くのか見てみたいって、」
『…っ、』
それ以上聞きたくなくて思わず耳を塞ぐ。
嫌だ。
嫌だ嫌だ嫌だ。
頭の中が嫌悪感と羞恥でたまらなくなる。
自分がそんなふうに見られたなんて知らなかった。
しかもそれを先輩が聞いてたなんて…。
―――ガタッ、
『…!!』
突然耳を押さえていた手を引っ張られ、赤西先輩の方を見ると、先輩はこっちを睨んでいた。
「…あいつに会いにいくんだ?」
『…っ、』
違うと言いたくても、喉が引きつって声が出ない。
…用事があるなんて嘘。
誰かと約束してるなんて嘘。
でも、それは先輩にも俺と同じ気持ちになってほしいからついた嘘で…、
俺ばっかり好きみたいなのが嫌で、それで―――…、
先輩の話を聞いてから頭が混乱していて、もうどこから話せばいいのかわからなくて、口を開いても音が出ずにパクパクと動くだけだった。
そんな俺を見て、先輩は睨む目を僅かに細めた。
「……行かせねぇ、」
『ぇ…、ッ!!』
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