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『だって時にはガツンとはっきりって聖が言ったんじゃん。ってか、誰の話してるかいい加減教えてくんない?』
残り半分くらいあるパンを口につめこみながら、今度は両肘をついてがっくり頭を項垂れている聖の頭をつつく。
聖って怒ったり沈んだり忙しいよなぁ。
(あと、やっぱりうるさい。)
すると、聖は悔しそうにボソボソと話し始めた。
「んなの、一人しかいないだろ。最近亀のまわりをちょろちょろしてるじゃねぇか。」
『…お前のこと?』
「ちげぇ!!激しくちげぇ!!俺はそんなぬるいもんじゃねぇだろ!!ずっと昔から亀のまわりをまとわりつくように、絡みつくようにちょろちょろしてたんだよ!!あんなロン毛と一緒にすんな!!」
『それもどうなの…。』
って、あんなロン毛…?
そう言われて、一人心あたりのある奴が頭に浮かんだ。
『…あ、もしかして仁のこと?』
「そうそうそいつ!!何であんなんと一緒にいんだよ?」
『別に特に理由はないけど?最近仲良くなっただけだし。』
聖の言うロン毛というのは、今言ったように最近仲良くなった俺の友人の仁のことだ。
仁といえば、うちの学校でも結構人気があって、俺も一度校内で女の子に告白されているのを見たことがある。
仁の何が良いのかって、それはやっぱ顔だろうな、あれは。
まぁ中にはそんなモテる仁を気に入らない奴もいるんだろうか。
話してみると結構良い奴なんだけどな。
『聖って仁嫌いなんだ?あれ?でも一緒に遊んだ事あるよね?』
そういえば、前に仁と遊ぶ、と言ったら無理矢理聖と(面倒臭そうな顔した)中丸がついてきたことがあったような。
仁と仲良くなりたいのかなーなんて思ってたんだけど、その時に何かあったのかな。
「いや、嫌いとかじゃなくてさ、…あいつ何考えてるかわかんないじゃん。」
『え?仁が?…そう?』
あれ、そんなミステリアスな感じの奴だっけ?
どっちかって言うと、考えてること全部顔に書いてありそうなくらい単純そうだけど。
…あ、バカすぎて言動が予測不能的な?
「だいたい、何でつるむようになったわけ?」
『…何でって、体育の選択が一緒で、同じチームやってからかな?それからはちょくちょく声かけられるようになって…、で、今仲良いのかな。』
「そうか…、それでか…。」
『?』
何だか深刻そうな顔で一人納得した顔の聖。
いまだに俺は話の中身がつかめなくてちんぷんかんぷんなんですけど。
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