SOS

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『じーんー、もう少しで2時間経つけどどうする?そろそろ電話くるよね?』 「あー、俺まだ歌いたいから延長しよ。」 『おっけー。じゃあ電話きたら延長する、ね…、ふぁ。』 話してる途中で思わず大きなあくびが出る。 「?どうしたの?」 『ん?何か眠くて。昨日寝るのちょっと遅かったからかなー。』 「…ふーん。」 そんな会話のやりとりをしてから数分後。 こんなに音がガンガンうるさい所にいるのに、だんだんと頭がボーっとしてきた。 眠くはないけど、何だか意識が集中しない、そんな感じ。 「かめー?大丈夫?」 『あー大丈夫。だけど何だろう、頭がボーっとするんだよね…。』 「え?マジで大丈夫?体は?だるくない?」 体…。 そう言われると手足が何か重く感じる。 動くには動くけど、あまり力が入らない。 『あー…、うわ、ちょっとだるいかも…。』 「えー、気持ち悪い?吐く?」 仁が心配そうに眉を下げて顔を覗き込んでくる。 『いや、気持ち悪くはない、かな。だるい感じがするだけみたい。』 えー…? 俺昨日ちゃんと布団で寝たんだけど。 昼まで超元気だったのに、このだるい感じ…。 これってもしかして、 『うわ、俺風邪…?』 「…なんだ、この薬ちゃんと効くんじゃん。ピィにだまされたかと思った。」 『…へ?』 クスリ…? 身に覚えのない言葉に思考回路が一瞬停止する。 いや、俺風邪ひいたのかな、って思ったんだけど…。 『え?じん?クスリって何…?』 そう聞くと、仁は両手を合わせて、にっこり笑ったまま俺にこう言った。 「…あーごめんね?亀の飲んでたジュースに、ちょっと眠くなる薬入れちゃった。」 へー、クスリってそういう薬ね…って、 『……っはぁ!?』 「大丈夫大丈夫。ちょっと意識が遠くなるけど、全部はとばないようになってるらしいし?」 『なってるらしい、って…、』 そう言ってさっきからペラペラと喋る目の前のこいつは…誰? さっきまでのどこかふわふわとした仁とは違う、…明らかに雰囲気が変わっている。 え、こいつ、…誰? じわり、背中に冷たい汗がにじむ。
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