二人で一つ

2/12
前へ
/12ページ
次へ
物心ついた時には、僕のとなりに君がいた。 理由としては、単純に、幼稚園で常に一緒にいたから。 どうして仲良くなったのかは覚えていない。 僕から話し掛けたのか、先生がたまたま僕等二人を仲良くさせたのか。 幼い子供は男女の区別なんてなくて、僕の親友は彼女だった。 彼女は人見知りが激しくて、あまり他の子供と仲良くなることはしなかった。 いつも、僕にべったりだった。 僕はそんな彼女に気を使って…かどうかは幼過ぎて覚えていないのだけれど、彼女以外と遊んだ記憶はあまりない。 けれど、それで満足していたからそれで良かったんだ。 1番古い記憶は、幼い彼女の満面の笑みだ。 その頃から、僕は彼女が大好きで、嫌いなところなんて何もなかった。 彼女はどうだったのか。 それはわからないけど…おそらく、僕と似た、あるいはそれ以上の幸福を感じていたと思う。 ただの自惚れかもしれないけど。 毎日が楽しかった。 まぁ、小学校前の子供はよっぽどのことがないかぎり幸せに生きている。 自分の言いたいことを言って、したいことをして、ストレスなんて知らずに生きる。 少なくとも、僕はそうだった。 残酷なほど、幸せで幸せで仕方がなかった。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加