二人で一つ

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それから数ヶ月。 少しだけ、僕はその女が怖くなった。 少し前までいつも一緒にいて、なんの不満もなかったとても良い、親友。 私と同じ年月だけを生きてきたはずの、そのちっぽけな少女が。 ある日、いきなりだ。 彼女は変わりはじめたと思った。 別人になった。 匂いとか、雰囲気とか、そんな信憑性のないものが。 彼女は死を纏いはじめた。 臭いがするのだ。 死の気配が。 恐ろしいものがすごい勢いで背骨のあたりを駆け抜けてゆくような。 そんな悍ましい空気が充満した。 彼女はおそろしいほど清純な笑みを浮かべて、それまでと全く同じように僕に、親に、他の大勢の人達に接しているようだった。 僕は、彼女がおそろしいモノに作り替えられてしまったことがすぐに理解出来た。 これは、人間ではない 別次元の存在が彼女のフリをしているのだと本気で思った。
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