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財布の左手は、何処にある?
俺の舌を握っていやがる。
そうか――俺の口の中にあるのか!
「い"・た"・た"・き"・ま"・す"!!!」
「―――っ!?」
空腹は最高の調味料。例え材料が何であれー!!
ガブゥッッッ!!!
俺は、最大限に口を開け、財布の左腕を喉の最深部まで飲み込み、一気に咀嚼した!!
「っ…!うぐぅぁぁぁ!!」
財布の左腕に、俺の犬歯が服を突き破り、めり込んでいく。
口内に広がる、鉄の味――そこに、明らかに『肉』の味が加わる。
「――っ!!」
ブチッ…ブチブチギチギチッ!!
ついに財布は俺の舌を放棄し、左腕を無理矢理口内から引きずりだした!
「……」
「く…くくく…舐めんなよ…こうみえても、俺の『食欲』は筋金いりだ…猫肉、犬肉、烏肉…食えるものは、ゴミでも食らった、正真正銘の【悪食(アクジキ)】だぜ?」
「……つまらない」
財布は、言葉とは裏腹に、満面の笑みを浮かべていた。
「つまらないつまらないつまらないつまらないつまらないつまらないつまらない!!」
狂ったように財布が笑い、咆哄する。
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