11人が本棚に入れています
本棚に追加
「「「いただきまーす」」」
三人の声が綺麗に揃う。
俺の家族は母さん、父さん、俺、妹の4人。
父さんは仕事が早いので、朝に顔を合わせることはまずない。
あるとしたら、せいぜい元日くらいのもんだ。
「ごちそうさまー」
今日の朝食も美味かった。
やはり、朝はご飯に味噌汁だね。
「相変わらず早いねー、お兄ちゃん」
妹はまだ半分も食べ終えていない。
懸命に口を動かしているが、器が空になるにはまだかかるだろう。
「相変わらず遅いなあ、兄として嘆かわしいぞ」
なーんてからかってみる。
ほら、妹は「むぅ」と頬を膨らましてふてくされる。
――しかし。俺の食事はそれなりに早いほうだと自覚している。
小学生の頃、毎日のように『誰が一番に給食を食い終えるかゲーム』が行われていた。
ビリには恐怖の罰ゲームがあったから、給食や箸の配置から食べる順まで細かく計算した。
最初のコメントを投稿しよう!