日常

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「「「いただきまーす」」」 三人の声が綺麗に揃う。 俺の家族は母さん、父さん、俺、妹の4人。 父さんは仕事が早いので、朝に顔を合わせることはまずない。 あるとしたら、せいぜい元日くらいのもんだ。 「ごちそうさまー」 今日の朝食も美味かった。 やはり、朝はご飯に味噌汁だね。 「相変わらず早いねー、お兄ちゃん」 妹はまだ半分も食べ終えていない。 懸命に口を動かしているが、器が空になるにはまだかかるだろう。 「相変わらず遅いなあ、兄として嘆かわしいぞ」 なーんてからかってみる。 ほら、妹は「むぅ」と頬を膨らましてふてくされる。 ――しかし。俺の食事はそれなりに早いほうだと自覚している。 小学生の頃、毎日のように『誰が一番に給食を食い終えるかゲーム』が行われていた。 ビリには恐怖の罰ゲームがあったから、給食や箸の配置から食べる順まで細かく計算した。
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