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僕の周りから、人がい『なく』なり、最後に彼女までい『なく』なったとき。 ……僕は笑った。 狂ったように、笑った。 それが普通であるかのように、笑い続けた。 僕の視界が『それ』を捕らえたとき、この世の物とは思えない、おぞましい音が鳴り響いていた。 ――耳が痛い。 赤で彩られた世界に、僕だけが存在していた。 奴らは僕を取り囲んでいたけど。 ………それを僕は認めなかった。――認めたく、なかった。 もう僕しかいないんだ。 奴らなんかいない。いてはならない。
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