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僕の恋が終わった日に、君の恋は永遠になった。
ある晴れた日、君は僕の恋人になった。
汗が滲む拳をひんやりとした廊下で、高く振り上げた。
みんなが見ていた。
僕は嬉しかった。
君が僕の恋人になったことを
放課後には学年全員が知るだろう。
君は黒い長い髪を高い位置でまとめて、その下の丸い茶色の瞳で僕を見て笑った。
(…かわいい)
僕はもう夢中だった。
授業中も君のことばかりが頭を巡っていた。
(アイツ、ほら1組うざキャラの、真壁タカラだっけ?)
(知ってるサッカー部の吉田と付き合うんでしょ?!)
(生意気だよねぇ~)
(吉田からコクったんだよ?)
(顔で選ばれてるって、いい加減気付けよって感じ)
(笑えるぅ)
「何が笑えんの??」
やってしまった。
こんなの無視出来たのに…
「授業中だから静かにして」
そう言った僕の表情が、彼女たちの青ざめた顔から容易に想像できた。
真壁が裏で色々言われてるのは知っていた。
それに気付かないふりして、なるべく地味に生活していることも。
隣のクラスの前を通る時、目があった。
彼女は、僕の方をみて静かにほほえんだ。
そして、
「放課後いいかな?」
っと、言ったと思う。
初めて彼女から話しかけられたので、驚いて思わず適当な返事をした。
「お、おう!!!」
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