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誰もいない校舎。
君は僕の席を知っていて、かわいらしい花柄のメモに、
(校門で待ってるよ)
と丸字で書いて、引き出しの中に入れていた。
校門には、既に君のマフラーが見えていた。
「ごめん、遅れた」
あわてる僕に、
「じゃあ、ココアおごって」
君は、得意の笑顔。
しばらく歩き駅前に近くと。
君は沈黙を破って、話し始めた。
「私、吉田のこと好きじゃないんだ」
「知ってる」
けど、聞きたくなかった。
こんなにはっきりと本人に言われると、それなりに傷つくものだ。
「好きな人がいるの」
「っ!」
それは知らなかった。
傷口が開いた、ような気がした。
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