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雨がやんだのは、午前4時になる少し前だった。
夜明けの匂いが濃厚になってきた。
結局私は眠れずにいた。
雨があがったから気分も少し晴れて、今なら眠れるかもしれないと思った。
そういえば、忘れていた。
いや、忘れようとしていたのか。
あれから3時間以上経ったけれど何も起こらない。
雨にうたれて帰ってくれていることを願った。
…嫌がらせでないのなら、何だろう。
亜美のストーカーとか?
世の中は広いから、そんな人がいてもおかしくないかもしれない。
正直、気持ち悪い。
カップの中の冷めたコーヒーを無理矢理胃の中に流し込んで、恐る恐る窓を覗くと、まだ黒色が見えて、神様は無慈悲だと思った。
神様は、不平等なわけではない。
人類に、平等に厳しい
あそこの人にも、冷たい雨にうたれ続ける試練を与える。
そう考えると、一体何の用かはしらないがただ可哀相に思えてきた。
…怖いけど、すごく怖いけど、あの方にはお引き取り願おう。
私はカーテンをきっちり閉じてから玄関へ向かった。
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