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「お小遣い、いる?」
「別に…いらない。」
いつものホテルの一室。
いつもの香水の香り
煙草の匂い。
「あら、学生だと何かと必要なんじゃない?」
「…まあ、そうだけど。」
歯切れの悪い私を置いて、彼女はブランド物の財布を同じくブランド物のバックから取り出した。
ブランドの名前は、知らない。
「だったらもらってよ。あったら使うでしょう?」
私の1ヶ月のバイト以上の札束が彼女ので綺麗な指に挟まれてヒラヒラと揺れる。
「・・・ンじゃ、もらう。」
受け取った札束を数える私を見つめる視線は満足顔で
「…なに。」
「可愛いーっ。」
「何言ってんだか。」
「可ぁ愛いぃ―。」
布がすれる音がして、首に温かい感触と重さ。
「うわッ・・。」
クスクスと耳にかかる吐息はいつも以上にご機嫌だ。
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