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手を貸してあげたいけど自分を求めてもらえないアリサ・すずか側と、魔法という荒唐無稽な事柄もさることながら、これは自分で解決する問題と考え外部に何も話せないなのはの葛藤は、なのはサイドでもかなり重要な話でしょう。
特に友達サイドであるアリサは、『何も話さない友達』に対して怒っているのではなく、『頼ってもらえない自分』に対して憤りを覚えているのが重要です。
友達なのに秘密にするなんてお前の友情なんてそんなもんかよってのは、本質的にはただ知りたいという感情が先行していて、本当に友達を心配しているわけじゃないんですよね。
明らかに何かあるのだけど、それを打ち明けてもらえないのは自分にその資格がないから。でもやはり自分の無力という自己嫌悪と友達が心配という感情もあり、素直になれずイライラしてしまう。そういう自分の性分を理解していて、友達の気持ちを尊重しているからこそ、どれだけ険悪でも相手が打ち明けるのを強制せずにひたすら待っている。そういう思い遣りが先行した亀裂がアリサとなのはの軋轢にはあります。
またもう一人の友達であるすずかは、心配をかけまいとするなのはと、心配だけど理由を聞かずにただ信頼して待つアリサの両方の気持ちを理解しています。だからすずかはすずかで心配しつつも、二人の心を汲みとり大丈夫だと信じ自分がアリサとなのはの緩衝材となって、やはりなのはを待つ。すずかはこの喧嘩の中でも恐らくは最も地味で損な役割を選び、友達を受け止め、『理解=愛』という図式を体現しているのではないでしょうかね。
さらにはこの問題は、この三人の出会いに繋がる部分でもあります。
昔から不正を許せず実力行使でも動くなのは、素直になれない今よりさらにひねくれ屋だったアリサ、引っ込み思案だけど他者が傷つけ合うことに関しては止めに入るすずか。三人とも今より考え方が幼いですが、基本的にとっている行動原理は同じです。
つまりこれは、三人の変わらぬ関係を象徴するシーンでもあるのです。
まぁそもそも映画関係ない場面だし、この三人についてはここまでにしておきます。
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