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外で活動をするにつれ、日に焼け赤茶にくすんだ縮れ髪が印象的な、グラン・アレストが陣取るエリア、天井の開けた洞窟の合間から、その上空に昇る紫色をした発光煙の姿が見えた。
合図だ。猟団の内、誰かがメインモンスターを見つけたらしい。
グランは自分が今いるエリアでの交戦を速やかに止め、仲間の下へと駆け出す為に武器を納めた。
ここは地図上ではエリア5とも呼ばれる、竜のねぐらだ。ここで竜の親子が卵を産む事もある為、それを狙う小型羽竜種である、ランポスの姿も後を絶たない。丁度今、グランが戦っていたのも同じだった。
背を向けて駆け出すグランの後方では、傷付いたランポス達が弱弱しい鳴き声を上げ追いかけて来る。だがその足取りは重く。
(大丈夫、逃げ切れる)
洞窟の外にまで出ると、諦めたのかランポス達はグランを追いかけては来なかった。やはり相手方も相当の深手を負っていたからだろう。
グランは後方の鳴き声が聞こえなくなった事を確認すると、その場に腰を下ろし、ポーチから研石を数枚取り出す。
一息付く事にした。
自分はパーティの中でも一番の新参者。今までに狩る事のできたモンスターだって持てるだけの罠を用いて何とか捕獲する事のできた、ドスランポス一頭だけだ。それに比べて他の面子は・・・・・・。
武器を砥石に滑らせている間に、グランは他の面子の事を頭に描いていた。否、嫉妬していた、と言った方が語弊が少ないだろうか。
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