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とっさの機転が効いたのか、グランはまだ生きていた。
彼は大剣の留め金を外した後、それを振り下ろす事なく地面に突き立てたのだ。もし彼が、武器を振り下ろしていたならば、ブレイズブレイドの切っ先がランポスの体を捉える前に、鋭くとがったランポスの爪がグランの胸元に深く食い込んでいたに違いない。そうなれば致命傷だ。ベースキャンプ行きは免れない。
代わりにブレイズブレイドの刀身、平の部分には爪の痕がくっきりと彫り込まれてしまったが、それを差し引いても、幸運と言えた。
何故ならその間に、追いついてきたセイとKURAUDOの二人がランポスを倒してくれたからである。
振りかぶった鎚の先端は骨の砕ける鈍い破砕音と共にランポスの頭蓋にめり込み、鉄刀の磨き抜かれた一太刀が残った一頭を両断していた。
「大丈夫かグラン?」
セイの暖かな手を取り起き上がり体制を整える。
振り返り武器を構え直すとそこには、怒りとも悲しみとも取れる、羽竜種特有の大きく開きギョロ付いた瞳で、ドスランポスが三人を見下ろしていた。
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