愛車と金属バットと。

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海沿いの、片田舎。 俺が通うのは、ここらへんじゃ、少し有名な馬鹿校。おまけに何かと物騒な男子校。 真面目に授業を聞く馬鹿は、一人として存在しないような、本当どうしようもない馬鹿校。 授業中だとか関係なしに、教室に飛び交うのは、昨日ヤった女の話だとか、昨日ヤった喧嘩の話だとか。 顔色ばかりを伺う教師は、毎度のことながら黙認の様子。 「あの、ヤリマン!性病でさ!」 「まじ?お前移されたんじゃね?」 こんな田舎だ。 行く場所なんか限られてるし、やることだって限られてる。 喧嘩するか、穴に突っ込むか、飲むか食うか、寝るか。 毎日そんなことの繰り返し。 「入澤!呼んでる!!」 「……あ?誰が?」 入澤尚矢(いりさわなおや)、生後17歳と2ヶ月。 糞暇な日常と、腐った毎日。 いい加減、そんな毎日に飽きてきていた頃だった。 そんな頃、あいつと出逢った。 「分かんねーけど、すげー可愛い子ちゃんっ!」 「あ?」  
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