江戸

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平『で、これは?』 "これ"とは携帯電話のことなのだが、美羽の携帯電話にはミニーちゃんのストラップがついており、どっちが主体なのかわからない弟キャラは、ミニーちゃんをわしづかみにして、ブランブランとふりこのように揺らす。 ミニーちゃんの悲痛な叫びが聞こえてくるような気がするのは、気のせいってことにしておこう。 うん、そうしよう。 美『それは、携帯電話。すごく便利なものなんです。それひとつでたくさんのことができるの。相手にメッセージ、‥あ、言葉を伝えたり、携帯電話をもっている人同士で話すこともできるんです。』 土『じゃあ、未来の奴に電波とやらを使って会話してみろ。』 あくまでも信じる気はないような言い方にカチンときた。 しかし、携帯電話の画面には"圏外"の文字が映っていた。 美『あの―、時代が違うせいか電波が届かなくて‥。』 土『やっぱり信用ならね―な。』 やっぱりな、という表情で美羽を見る。 なにか信用してもらえるもの‥。 美羽は携帯電話を握りしめた。          
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