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「……どの時代も警察は面倒臭いらしいよね」
一世代前……まだ超能力と呼ばれるものが、よく知られていなかった頃。
警察にも特殊能力課と呼ばれるモノがまだ存在していなかった頃も、彼等は国の中の三大権力の中の一つとしてカウントされていた。
そんな彼らが仕事に積極的であるか答えるときっと否定的な答えが返ってくるだろうし、それは今も変わらない。
そんな彼ら警察も、超能力と呼ばれるものが表立って登場した時には焦りを覚えた。それが、悪用されれば確実に自分達の立場が危うい……
その予感は見事に的中し、超能力を悪用するもの達が現れた。対処しきれない彼らに、国民は数多もの批判を彼らへとぶつけた。
――てめぇらは何をやってんだ!
――金払ってんのは俺達なんだよ。しっかりと働けや!
そんな成す術も無い彼らの前に現れたのは、超能力を扱う慈善団体だった。
慈善団体の出現によって警察と言う存在意義が無くなり、崩壊の一途を辿りはじめた時、彼らの長がとった行動はとてもシンプルだった。
慈善団体との合併――否、吸収だった。
その事に大きなパッシングを受ける結果となったが、結果として今も変わらずに、三大権力の一つに含まれている。
雄二は、電気メーターへと視線を向ける。それはゆっくりと回り数をカウントしていた。
「……こりゃ、どう見ても家には誰も居ないなぁ」
春夏は苦笑いを浮かべ踵を返すと、何事もなかった様にその場を後にした。
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