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6月5日―。
この日は成瀬学院の体育祭。
あたしは今その準備を行っている。
「あー!!ダルい。何であたしらがやんなくちゃならんの?」
「まぁ。あと少しで終わるから頑張ろうよ」
「もー。莉愛、真面目すぎ」
「あんたがたらたらやってるからでしょ」
ホントあたしってこういう時だけいい子になっちゃうんだもんなー。
ん?
げっ。あいつらいつものメンツじゃん。
またサボってる。
「あんたらさー。それ終わんないと帰らせないよ?」
きたー!!
あたしこういうやつら見るといらいらするのよねー。
だからいつも言ってやんの。
自慢じゃないけど負けたこと1回もないから。
「は?何、いい子ぶってんの?」
「ぶってるよ?だから何?それとこれとは別の話だと思うけど」
「俺さー。いい子ぶるやつとか大嫌いなんだよな」
うっわー。
こいつあたしを挑発してるな。
喧嘩売ろうってーの?
えーえ。
それは有り難く買ってやりますよ。
「あたしさー。協力しねぇやつらが大嫌いなんだわ」
「誰のこと言ってる?」
「は?あんたらに決まってんじゃん。他に誰がいんの?」
「はいはい。そこでストップ!!」
え?
声のするほうを向くとそこには立花くんが手を挙げながら立っていた。
「ごめんねー?これ、俺の女だからさ。いじめんのやめてくんね?」
「はい!?俺の女?いっ…」
『お前は少し黙ってろ』
いかつー。
今、勝てそうだったのに。
もうちょいだったのに。
くっそー。
「す、すいませんでした!!」
そいつは立花くんの一言で仕事をテキパキと終えて帰ってしまった。
「ちょ、ちょっと…!!ねえ、行っちゃったじゃない。どうしてくれんのよ」
「別によくね?それより残り終わらせようぜ」
「う、うん…」
ダメだ。
こいつのペースに追いつけねえ。
それよりさっきのは何よ。
俺の女って…。
あたし女になった覚えないんだけど。
いきなり立花奏斗の恋人になって?しまった。
あたしの人生はどうなるのやら。
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