いらっしゃいませ。私…

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ひきっぱなしのフトンに横になった僕はいつの間にか眠っていた。 「おい。起きろ」 誰かが読んでる。 「寝すぎやて」 僕は、とっさに自分が話していないことを、確認した。 なぜなら、その声は僕の声だからである。 目をあけると、真っ暗な部屋にポツンとある扉。 色は、黒に近い茶色。 心臓のドキドキがおさまらない。 「ヤバい。どこココ?」 やっと出た言葉がそれだった。 恐怖よりも、現状把握がし切れないせいか寝る前のことを思い返していた。 その時、「落ち着いたかい?」 後ろから声がした。 「誰かおるの?」 とっさに聞き返した。 「ずっと、ここにいるよ。だって僕は、君の案内役に選ばれたんだから。」 「ココどこ?」僕は、目の前の自分が、自分であるのを理解できずにいた。 「ココは、裏の門。君がいた世界とは違う。まー君の世界はまだ、裏も表もあるかな。」 秀一は理解できないでいた。 「君の世界は、善人と悪人両方が住んでいる。そうだろ?」 秀一は、混乱からやっと冷静さを取り戻して、 「そうだと思う」 今朝のニュースを思い出していた。殺人、詐欺、放火…だけど、人のいいやさしい人もいる。 僕に似ている男は、いった。 「違うなー。意味が違う。1人の中に善人と悪人が住んでるってことだ。どちらも均等にいるわけでもない。むしろ何も考えていない人間のほうが多い。だから僕の世界は・・・」 最後のほうは何を言っているのか聞き取れなかった。そんなことよりも、こいつ、心の中が読めるのかと顔をしかめていた 「読めるよ。いや、むしろ感じることができる。」 信じたくないが、そんな怖さよりも、なんでここにいるのかと問いただした。 「お前は、何も分かっていない。これから、面白いところへ連れて行ってやるよ。」 「どこ?」 「この門の向こうは、表裏をなす表がない世界。」 かなり怖くなって、我を失いかけたとき、目の前の男は言った。 「もう一度言うが、俺は、お前の裏だ。そしてお前をこの世界に呼び込んだ。俺が、お前を案内するからついてこい」 正直、怖かったが一人になれない孤独感に負けて、ついていくことにした。 … … 扉が開いた。向こうは普通の景色だった・・・ 「いらっしゃいませ。裏の世界へ」 中に入り、扉が閉まった
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