怒り

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秀が話をはじめた。 「人って、どう思う?」 はっきり言って、どうとも思いませんと、即答しそうになった。 「考えたことないから、わからない」 「この世界を見てどう思う?」 「なにも思わないよ?」 正直、秀は裏の世界だなんて言って怖がらせているだけだと思っていた。 「ひとつ言っておくよ。お前の世界は、人間社会だ。」 そんなことは。知っていると、周りをキョロキョロしながり、うなずいていた。 「人間が住みやすくなるために、動物のすみかをぶっ壊して、地球の空気をことごとく壊して、自然はメチャクチャ。 挙句の果てに、絶滅だの、異常気象だのと、どう思う?」 「そんな人ばっかりじゃないよ。ちゃんと、自然に対しても、動物に対しても、保護してる。一部の心ない人が、ゴミをしたりしてるんじゃん。」 「一部?」 秀は、聞き返した。 「そう。人間みんなが悪いわけじゃないよ。」 「お前は、熊にあったらどうする?」 こいつ、話のキャッチボールできるのか?的な勢いで、秀を見ている自分がいた。 「あぁ・・・怖いよ、そりゃ。」 また聞いてきた。 「その熊が、殺されたらどう思う?」 ええええ、と思ったが、正直ホッとしてしまうと考えている自分がいた。 「そんなもんだ。ほっとするのが、普通だ。会っただけで殺されると思ってしまうんだから。」 確かにと思った。
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