博士とロボット。旅人と人形。

博士

　都会は、気持ち悪い。
　なんであんなに不完全な物で溢れているのか、理解出来ない。なんで皆平気な顔して歩くのか、分からない。

　だから、旅をしていた。完璧な場所を求めて。
　左右対称の建築物が並び、傷ひとつ無い場所。そんな桃源郷を探して。

　だけど、この世界は全て不完全な物で埋まっていた。桃源郷なんて、存在しないのだ。

　いや、存在しなかった、今までは。しかし、今目の前に、小さい桃源郷が完成した。
　人が１人棲めるだけの桃源郷。全てを特注し、自分の目で確認し、納得した物だけで溢れている。傷が付かないように、特殊な加工も施した。

　素晴らしい。
　今日から、この小さな桃源郷に棲めるのだ。