お祭り 1

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「あら?藤本君なら気づくと思ったわ。彼女の事が心配で、気付かなかったのかしら!」 女はくすくすと笑った。 「あんたにそんな事言われる筋合いねーな・・・・」 俺はますます不機嫌になる。 「ごめんなさい。気に障ったなら謝るわ・・・・」 薄く微笑むその顔に俺はドキリとした。 俺の気持ちはどうであれ、すげー綺麗だった。 この女は俺より1コ年上らしい・・・が・・・その容姿といい、頭のレベルの高さといい、落ち着いた性格といい、大人の女って感じがする。 少なくとも、俺のまわりのアホ女どもにくらべたら、やっぱすげー大人だよな・・・ 「なあに?」 女はとてもしなやかに笑った。 「いや、なんでも・・・」 女の妖艶な微笑みは、俺を動揺させる。 「ねぇ・・・藤本君・・・もし今日これから時間があるなら、一緒に行かない?」 女は階段下に見える祭り会場を指さして、微笑んだ。 「悪ぃが、俺は祭りに興味ねーんだ。他あたってくれよ・・・」 なんとなく女と2人で行くのは気がひけた。 ケンカしてるとはいえ、俺にはやっぱ 莉海がいるし・・・・ 「そう・・・残念だわ・・・私、ここのお祭りってはじめてで・・・ちょっと楽しみだったの。」 そうだった・・・この女は校長の遠い知り合いの娘だかなんだかで、その頭の高さをかわれて、他の高校から、わざわざ抜擢してつれてきたって満崎が言ってたな・・・ 「ねぇ・・・それじゃーここの案内係りとしてならどう?」 「案内係り?」 「そう・・お祭りの案内係りよ」 少し照れたように笑う女の顔は、いつもより幼く見える。 普段は生徒会長として大人ぶっていても、こいつも普通の女なんだ・・・ なんとなく、俺はそんな女に親近感を覚えた。 「案内係りねぇ・・・あんたは生徒会長だし・・・断れねーな。」 「ありがとう。」 綺麗な顔でくすくすと笑う。 けど、なんで俺なんだ? 今日の祭りの警備の担当には満崎や他の人もあたっているはずだ・・・ わざわざなんで俺のとこなんかに来るんだ? 俺には訳がわからなかった。
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