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「あ~…めんどくせぇ~……」
作りたくもなかった朝メシを俺は今、嫌々ながら調理中…。
本来なら、あの天然記念物が担当しているのだが…。よりによってまだ寝ている、起きる気配がまったくもってナシ!
放っておきたい気持ちは山々だが、それだとこちらが果てしなく困る。
ということで、現在目玉焼き5つ目を皿に盛りつけているという状況なのだ。
あぁ…俺は海老天京介。決して食べられるものではない若干グレた高校生だ。
それで、さっき話した天然記念物もとい、俺の幼なじみの…。
「おはよぉ~…」
「…寝癖がハンパねぇぞ、お前」
天鳳寺桃香。ワケあって同じ屋根の下で暮らすねぼすけである。
「とりあえず…ツッコミ所満載なねぼすけ君に一言」
「ほぇ~…?」
「顔でも洗って目ぇ覚まして来いや!」
「ふぁ~い…」
コイツ…まさか自分の仕事を素で忘れてるんじゃ…?
桃香のいない間に説明しておくか。
この家は俺と桃香以外、誰も住んじゃいない。というのも…元々桃香の親父さんが住んでいたのだが、だいぶ前から海外事業で帰って来ないのだ。
それで何故俺がいるのかというと、幼い頃に両親が亡くなってからは桃香の親父さんに引き取られて、家族同然に育てられてきたからである。
だから、桃香の親父さんは俺の父親も同然なのだ。そのかわり桃香の世話、もといお目付け役を頼まれている…というワケ。
しかしあれから数年…。天然記念物の桃香は今や学園のアイドル的存在。つまり、俺にどういう待遇があるかは想像の通りだ。
確かに美少女といえば美少女なんだが…天然記念物なんだよな、俺から言わせれば。
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