第1章 始まりの風

2/4
前へ
/4ページ
次へ
「はぁっ?転勤?」 桜の蕾もずいぶんと開きだした4月の頭のとある家の一室で、俺は若干裏返った声をあげた。 声をあげたのは、俺こと仙崎 凪(センザキ ナギサ)この春で高校3年になる… おい誰だ!今女っぽい名前って言った奴! …まぁそれは置いといて、 「転勤ってどういうことだよ?」 目の前にいる何故かアロハシャツを着ている男、不本意ながら、父親である仙崎 勇(センザキ イサミ)に目を向ける。 「いやぁお前は小さかったから覚えてないだろうけど、お前が生まれてすぐに転勤があってな…」 「まぁ確かに覚えてないけど…」 「それでその期間が終わったから、もと居た場所にもどることになったんだよ。」 そう言って笑みを浮かべる父親が、一瞬だけ表情を曇らせたことに、俺は気付かなかった。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加