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紺色のブレザー。そこから伸びた細い白い手足を持つ少年二人が、並んで立っていた。
「ハイ」
僕は普段見慣れない光景に戸惑い、挨拶した……。何せ二人が立っていたのは、僕の部屋の前だったから。僕がこれから朝食に向かおうと、何気なくドアを開けたところだったからだ。
「ふふ、可愛い下級生二人が……どうしたのかな」
先輩を頼って来ているような心細い顔の二人を見て、僕は優しくこう言った。
外が雨だったせいか、このセイル寮内も今日は静かな雰囲気だ。
まぁ、ここロンドンで全く雨が降らない日というのも珍しいのだが。
僕はこの寮の監督生をしている。ジョー・スコット、17歳だ。寮長は別に居る。
「ジョー、朝早くにごめんなさい。僕達、ジョーにお願いがあって来たんです」
二人とも明るい茶髪で、同じくらいの身長だったが、少し目つきがしっかりしていて髪がストレートな方がこう言った。もう一人の方は少しだけ巻き毛で、大きな目はとろんとして内気そうな印象を与えた。
僕は役職上、ある程度時間に余裕を持って行動するようにしている。今日も他の部屋のやつらより早めに朝食へ向かうところだったし、こういうちょっとした非日常は僕を不愉快にさせることはない。頼られる、自分の時間を他人にあげられるというのは嬉しいことだ。
などという監督生らしい優しい気分は、巻き毛の方の言葉で少し揺らぐことになる。
「本当は寮長に言いたかったんですけど、彼は人気だから近寄りがたくて」
……。
何となく髪がストレートの方の顔を見たが、相方の発言の失礼さに気付くことはなかったらしく、切実な表情で僕を見続けていた。
「……そうか、まぁお入りよ。朝礼まであと40分は余裕があるからね」
僕がドアを開けると、二人はひとまず安心したような様子で静かに中に入っていった。
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