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『電話ボックス』
今夜もまた家を飛び出してきた。
苛立ちに操られるまま
振り返りもしない。
するだけ無駄。
友達には会えない。
こんな姿で誰にも会えない。
学校の前の公衆電話に
逃げ込んだ。
電話ボックスの中は
私の逃げ場所。
ひとりを感じて
素直に泣けるから。
ガラスに映る
私に重なる夜の街に
止まらない車の流れを数えてた。
受話器を上げる……。
…………………………。
空っぽの静けさに
言葉の変わりに涙が答える。
ドライバーたちはきっと
別れ話の最中だと思うのね。
それとも
私なんか小さな存在には
誰も気がついては
いないのかも知れない。
だけど
いつかは私に気づいて。
コインを入れる振りしながら
夜が明けるのを待ってる……。
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