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俺の目の前の白い森……
いや、違う。
目の前のは、きっと誰も知らない赤き森……
森全体を染める赤色は……何だろう?
そして赤い水溜まり。
気持ち悪い臭いとこの空間。
嫌気がさす。
白き森では無い、赤き森。
俺は何故…ココに?
『アナタガコノ森ヲ赤クシタカラデショウ??』
しゃがみ込み水面を眺める女の子。
「君は…」
『ワ・・タノ?キミガ・・森ヲ・・・カ・ソ・・・コワ・タ・・』
「え?何?」
下を向きながら消えてしまいそうな、か細い声で何か言う。
何かを言っているのは、分かる程度で、言葉を聞き取れない。
『ワスレ・・?キミガ・ノ森・ツ・・カ・・シ・・・・・ノ』
もう一度聞いてみたが、とぎれとぎれでやはり、無理だった。
「ごめん、聞こえないんだ」
何も返事をしないまま、女の子がすーっと立ち上がり、下を向いていた顔をあげた。
それと同時に目が開けられないほどの強い風が吹いた。
「うわぁっ!!」
吹き抜けた風と同時に何かの気配がした。
「……え?」
ゆっくり目を開けてみると女の子の隣に、赤く長い髪の少女がいる。
少女が女の子を守るようにいる。
「アンタ誰?!」
「っ!!」
「アンタ誰って聞いてるんだけどなぁ~、自分の名前もわかんないかなぁ~、コイツは」
なんだコイツ。いきなり現れるやいなや、良く喋る。
それに礼儀がない。
見た目は可愛いのにもったいない。
「俺は……」
俺が口を開いたと同時に、女の子が口を開く。
『トーユ』
「コイツ……同じ顔してる……名前も同じ、でも、人間だよ?!」
『……ウン、同イツ人ブツ……ダカラ』
「え?顔が同じとか、よくわからないし、なんで俺の名前を?それに人間って!君達も人間だろ?」
「本当に記憶ないんだねぇ、はぁ、アンタはね……」
『朝菜イッテハ駄メ』
少女の口を女の子が押さえた。
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