小さな新聞記者の旅立ち

2/6
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
それはそれは世にも奇妙な 南の都市 その都市は街中水に囲まれた場所だったので 水都と呼ばれていました。   水都は川や海が町を覆い、緑も豊かで 「ある事がなければ」住み易い場所でした   そう「ある事がなければ」   「えっと・・・水都行きの船はどっちだっけ・・・」   大量の荷物を背負った小さな少女 船周辺地図を見、位置を確認している   「(これだから『外』は嫌なんだよ・・・)」   「水都行きの船はこちらになりまーす!! まもなく出航されますので急いでくださーい!!」   「お、あっちか。 しかしどっかで聞き覚えがある声だな・・・」   荷物を背負った少女は 頭に被った大きな真っ赤なキャスケットを被りなおし、 目的の船の方向へ歩む。   「水都行きの船になります! 乗客全員の乗船が確認されましたら 準備にはいりますので10分後に出航されます! 恐れ入りますが手続きされた方を再確認しますので 再度手続きのサインをよろしくお願いします!」   羊の角と耳の様なものが頭にある ピンクと黒が印象的な女性がそう言うと 乗客らしき人達は次々にサインをして 船に乗船していく。 最後尾の少女はその姿を見届けながら 列の最後のサインを済ませる。   「あーはいはい、えっと『火窮』・・・っと 読み仮名は『ひきゅう』ですよっと・・・」 「はい、お客様で最後になります! 足元に気をつけながら乗船してください!」   火窮は船へと乗船する その後ろに女性もいる。   「・・・やっぱ豊月か 聞き覚えある声だと思ったら」 「まぁ旅行ガイドとかの仕事とかやってるから! そういうきゅうちゃんは、なんでここに?」 「長期滞在、だよ 私も新聞記者だしねぇ たまには『外界』の記事も悪くないと思ってさ」 「なるほどねぇ・・・」   二人が船の内部へと入ると ゆっくりと入り口は塞がれる。   「で、豊月 君も船に乗ってかまわないのかい?」 「水都行きの船は行きも帰りも早いし・・・ ガイドもしなきゃいけないの、その間は別の人が船の担当してくれるし 私も向こうで長期滞在する気だからね。」 「なるほど・・・」 「あ、私仕事あるから!またね!」 「ん、了解した」
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!