GO to WAR

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L3で不穏な爆発が起きた。 急速に冷やされ、宇宙は何時もの静けさを一瞬で取り戻した。 旧世紀中、一度は絶滅しかけたタバコという害毒は、宇宙世紀0368を迎えた今日もなお生き延びている。 人体や精密機器を最低限に留める低タール化、化学剤による低温度燃焼葉の開発と、宇宙時代に即した不断の改良が続けられてきた結果だが、その勢いを盛り返した最大の功労者はリンクスだとも言われていた。 前線の兵たちは言うに及ばず、作戦会議室で渋面を突き合わせる将軍たちも、続々と入る被害報告に絶句するしかない議員や役人たちも。 総人口の半数近くを失い、残りの半数も瀬戸際に立たされた人類にとって、タバコは未曾有のストレスを軽減する慰めになった。 官邸・議事堂における全面禁煙は早々に破棄され、戦時中はあちらの会議室、こちらの休憩室で脂臭い空気が充満した。 戦後になってもその悪癖は残り、会議中に一服つける議員の姿はこのレイヤード4(L4に存在)でも後を絶たない。 与野党の重鎮が顔をそろえる移民問題評議会も例外ではなく―――いや、戦中戦後を生き抜いたベテランが多い分、とりわけ喫煙率が高く―――、会議室には各ヶが燻らせる紫煙がたゆたうのが常だった。 ジョセフ・アレン: 沈黙は肯定の証・・・と判断してよろしいかな。 それにしても今日は酷い。 眼前にも漂う煙を手で払い、ジョセフ・アレンは円卓に着く面々の顔を見渡した。 ジョセフ: L3の監視カメラの消滅は軍の観測でも確認された。 これは私の判断ではない事を皆さんに知っていてほしい。 恐らく過激派武装組織の仕業ではないかと思います。 地球軍のGAE艦隊が総力を挙げて私達宇宙軍を待ち伏せしている。 監視カメラはリンクス戦争を引き起こした旧宇宙革命軍を監視する為に設置された。 これを破壊されたら宣戦布告と受け入れてよろしい、という宇宙政府からの返事を受け、相互理解の結果のはずなのだ。 カメラを破壊された後の行動は地球では既に考えられていて、地球に点在する企業が瞬間的に合併し、GAE(Global Arms Europe)が創立される。 即座に行動を起こし、宇宙へ行き、迎え撃つ。 事の始まりは今も昔も過激派武装組織だ。 レイヤード3中央議事堂本館、第111委員室に集った評議員の数は32名。 上座の議長席に収まるジョセフを筆頭に、各政党の幹事クラスが、それぞれ寝癖や目脂を紫煙の底に沈めている。
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