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ディード:
クローム・バレーナ
ディード・エクセリオン、出る!!
スパイラル・オブ・マザーウィルから放たれた光の光軸は真っ直ぐ、神への反抗の意を示した。
ヴァンガード・オーバード・ブースト(これからVOB)を使用した場合の速度は時速2000㎞に達する。
機体に掛かるGは計り知れないが、クローム・バレーナには完璧なG耐性を施している。
直後、レーザーキャノンが機体に向かってきた。
こちらは何も反応していない。
視認すら出来ないのに“やつ”はどうして分かる?
怖い、ただそれだけだった。
クイックブーストを利用し、多少の移動した。
だが、頭の中ではまだ怖い、という感情が出口の見えない螺旋階段を昇っていた。
ディード:
くそっ。
噂以上じゃないか。
だから、ソフィナーも戦死するわけだな。
更にVOBの速度を上げ、一気に下部へ回り込む。
VOBをパージし、レーザーライフルを構える。
その瞬間、レーザーキャノンが何処から飛んできた。
これでソフィナー、バファイがやられた。
今も此処に彼らの残留思念が遺っているのか?
出来るものなら会ってみたい。
そんな感情すら打ち消す程の恐怖に駆られていた。
ディード:
壊れろ!!
神なんていない!!
内部ハッチが空いている。
神の悪戯だろうか?
そのハッチに侵入しようとした瞬間だ。
急に熱源反応が複数反応したのだ。
新型防衛システムを搭載した、というのは聞いているが、まさかシステムではなく弾幕とは思わなかった。
ディード:
くそぉぉぉ!!
シェスター、帰還する!!
ここまで恐怖を感じ、ここまで怒りを顕にしたことはない。
そこまで威圧感、重量感、完璧なまでの防衛。
クローム・バレーナのプレディアムアーマーを全開にし、被弾覚悟で離脱を謀った。
だが、追撃が来なかった。
夜光虫の光にも見えるクローム・バレーナの双眸には恐怖が滲み出ていた。
ディード自体も冷汗が溢れ出ている。
無事に母艦に還れた事が逆に恐怖を増していた。
アンサラー<解答者>には総てを見透かしているかのような行動していた。
世界の果てまで解答が見えているようで、怖かった。
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