異例

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はわー…こういうこともあるんですね 今、目の前にいるドクターキリコはいわゆる“コスプレ”ってやつで、そいでまって私は“オタク”ってやつ等の中にいるってことなのか! …のか? 「今度は黙りかい?」 彼は何も言わない私を見て、口を開いた その言い方は何故だか“本物のドクターキリコ”という印象を与えた …何故かは分からないけど 言いたいことがいっぱいあるのに、私の口からは何の言葉も出て来なかった 「フゥ…」 彼はため息をひとつつき、何かを考えた後再び口を開いた 「何をいえば良いのか分からないって顔だな。じゃあ、俺の質問に答えてくれ」 きっと、また『どうして俺の名を知っている』だろうな と思っていた私の考えとは斜め上の言葉が飛んだ 「お前さんの名は?」 …へ? 一瞬きょとんとしてしまった が、これは精神科医がよく使うやり方だとすぐに気が付いた 相手のことを聞いて、打ち解けたころに自らの口から色々と言わせる キリコでもこんなことするんだ …っと感心している場合じゃない 名前を聞かれたんだよね えーっと… …あれ? 私の名前って何だっけ?
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