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「ルーク!詠唱中は守って!」
ダアトの軍人が自身が捌ききれなかった魔物に攻撃され、文句を垂れる。
近くに居た自身の護衛剣士にして使用人がそちらのフォローに向かい、マルクトの軍人はそんなダアト軍人に勝手にグミを与えに行き己-ルーク-は溜め息を吐きつつ、魔物を切り裂いた。
あぁ、なんて非常識。
少し離れた所に立つ導師の側へ歩み寄り、周囲を警戒しつつ、自身に降りかかる言葉を予想しまた、溜め息を吐いた。
「ルーク!ちゃんと詠唱中は守ってって言ってるでしょう!」
「まぁまぁ、俺が出来るだけフォローするからさ。余り気にしないでくれよ。」
「まったく。アナタは何を考えてるのでしょうね~」
ダアト軍人、護衛剣士兼使用人、マルクト軍人。揃いに揃って馬鹿な発言を続ける。
「カーティス大佐。お前は戦争を回避したいのか?それとも、死霊使いの名の通り戦争を起こしたいのか?」
ルークは、その中でただ一人に言葉を発した。
「俺の名と地位を解っていながらの不敬と取らせて貰うが…」
「どういう意味ですか?」
マルクト軍人ージェイド・カーティス-は眼鏡のブリッジを押さえながら問う。
「何故おまえ達は、王族であり第3王位継承権を持ち、公爵家子息である俺を呼び捨て、命令。それどころかそんな地位に付いている俺を馬鹿にし、戦闘の強要を強いる。更に言わせて貰えば、俺と…ついでにガイは軍属じゃあ無い。そんな人間を前線に立たせ軍人が後衛に廻るなんて有り得ない事だと思うが…」
「け…けどルーク!ティアは女性「そんな事は関係ない。民間人、国、貴人を守るのが軍人の勤めだ。つーか、イオンの護衛って誰がやるんだよ」っ!?」
ガイの反論を遮りルークはピシャリと切り捨てる。
「道中の事、全てインゴベルト陛下へ伝えさせて貰う。今の国庫を考えれば戦争はしたくないからな…ダアト及びマルクトには抗議文を遅らせて貰う。その後の判断は導師とマルクト皇帝に任せるが…あぁ、ガイお前もバチカルへ戻ったら暇をやる。家の再興でも頑張るんだな。」
そう言ったルークの笑顔は冷酷ながら見るもの全てを魅了するものであった。
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