捨てる…置き去り。

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少女は、この春小学生へ上がったばかりの一年生。その割には、とても小さく痩せている…。四・五歳の幼稚園児ぐらいに、しか見えない少女の通う学校は、全校生徒約700人の大きくも小さくもない江戸時代に出来たその町に、適した大きさだった。新任のまだ若い先生に見送られて同級生達と校門を出た。 少女の名は、間中夏美。夏の盛りの八月に産まれたからと、祖母が名付けたそうだ。 夏美は、家が比較的近い同じ分団である田沢文佳(ふうちゃん)加藤雅史(まあくん)山崎勇(いさむくん)と、仲良く二人ずつ並んで歩いていた。 四人の家までは、学校から一番遠く一時間くらいは歩かなければ行けなかった。 学校を出てから、沢山いた同級生達は左へ右へ、町の方へ、山の方へ…それぞれに帰路へと別れて行き、町の外れの集落にある家へと帰る夏美達四人だけになった。
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