捨てる…置き去り。

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小学校と夏美達の家がある集落のちょうど中程に、小学一年生の夏美達には大きく広く見える神社があった。そこで、他の同級生達には内緒で、四人は道草をするのが日課になっていた。一年生には、まだ慣れない重くて大きすぎるランドセルを、「よっこいしょ。」と、同時に下ろすとげらげらと笑い合った。 先生や親達から、まっすぐ家に帰りなさい!と毎日必ず注意をされていたから、弱虫のまあくんだけはちょっと半笑いをしていた。 まあくん家は、300件くらいの夏美達の集落に一軒だけある代々の萬やを営んでいて、今で言うコンビニであった。が…三代目が結婚した10年前に店を大きく広げ洋品や靴も売る洒落たスーパーになっていた。当時は、まだ…とてもお金持ちのお宅の長男だったから、夏美達三人よりも大切に大事に育てられていた。
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