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夏美は、こういう時いつも行く三ヶ月前に出来た大きなイオンモールに向かって歩き出した。
市内から車で小一時間かかる田舎に、突然出来たイオンモールは、いつも賑わっていた。
いつもの子供ひろばに行き、ジュースを買ってカラカラになっている喉に流し込んでいる時、ふうちゃんが警備員のおばさんに腕を捕まれ、泣きながらこちらへ来るのが見えた。両手いっぱいに飴や駄菓子を掴んでいる。その姿を夏美は見ないように目を閉じて寝たふりをして長椅子に横たわった…そのまま眠ってしまっていた。気がつくと、すごく優しい声のおばさんが、「間中夏美ちゃん?、今日は一人?」と、声をかけて来た。夏美はいつものように、「お母さんは、お買い物をしているの!」と、答えた。いつも母親から、そう言えと教えられていたからだ。夏美には、赤ん坊は一緒じゃないの?と、聞かれているとは思わないで答えた。
声をかけたのは、児童福祉委員をしている、米川幸子51歳である。幸子は、イオンモールに親が付き添って居なさそうな幼稚園児ぐらいの女児が、赤ん坊のお守りを一人でしながら3時間も4時間も居る!と、何人からも通報を受けていた。その上、今日…少女の担任らしき若い女性からも通報があった!その女児には、洋服で隠れてる部分だけに痛々しい傷も無数にあると言うのだった。近頃、この手の通報が多くなり忙しい中確かめにやって来たのだった。
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