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「ならば教えてくれ」
「はい」
キジは後ろ手に扉を閉める。
「あそこを飛んでいる鳥はいつか死ぬか」
窓の外を見ると燕が飛んでいる。
「はい」
「タージは死ぬか」
「はい」
「私やキジも死ぬか」
「いずれ寿命がくれば死にましょう」
「鳥も犬もお前も私も、王ですらいつかは死ぬ」
「はい。そうです」
「私は死にたくないぞ」
シッダールタはキジの居る方へ向き直り、大真面目でいった。
「私だって死にたくはありません」
「死なずに済む方法は無いのか」
「生きていれば、いずれ死にます。死をいつか迎えるということが、今生きているということなのです」
「私はキジのように簡単に死を受け入れる事はできそうにない」
シッダールタはまたベッドに寝ころんだ。
「私だって受け入れているわけではございません。先人達の受け売りです」
「そうか……」
「ただ……」
「ただ?」
キジは一瞬ためらい、話し始めた。
「伝説では一つだけ永遠の生命を手にする方法があると聞きます」
「どんな方法だ?」
シッダールタは飛び起きてキジに先を促す。
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