第0⃣章 プロローグ

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 引退してから、俺は事件を起こしてしまった。  偶然、職員室で顧問と後輩の話を聞いてしまったのだ。  後輩はどうやら大きなケガをしてしまったらしい。その後輩は俺達が居たときからレギュラーで、顧問もかなり目をかけて指導していた。しかし、ケガをした後輩に対して顧問は予想外な言葉を口にした。  「治る見込みがないなら辞めろ。木偶の坊に居られても邪魔なだけだ」  ……人間はこうも冷酷になれるものなのだろうか? やはり顧問は部員の事を強さでしか見てくれていなかった。元々顧問に抱いていた不満が沸点を越えた。  気付いた時には顧問に飛びかかっていた。そして右フックを一発。今思うと浅はかな行動だった。  この暴力事件のせいで俺の卓球推薦のオファーは全て取り消された。  幸い、人並み程には学力を持っていたので、俺は一般受験で県立桜羽(オウハ)高校に入学する事になったのだが、
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