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「何で?」
さっきと同じ、何かを探るような彼の視線。
今度はそらさなかった。
「……大切な人は、少なくていい。だっていつかは、私の前から消えてゆくから」
「……何だソレ」
「う──ん……。私の持論?」
「意味分かんねぇ」
眉間に皺を寄せている彼に、綺乃は言った。
「分かんなくていいよ」
────穏やかな昼下がりに、チャイムの音が響いていた。
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