無口×適当

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数分後、また音楽室の扉が開いた。 開けたのは綺乃だ。 左手には二つのメロンパン、右手には缶コーヒーが握られている。 さっき、購買で買ってきたものだ。 「やっぱり」 綺乃は、彼に聞こえないように呟いたつもりだったが、しっかりと届いていたようだ。 「何が?」 今は机の上にだらしなく座り、携帯をいじっている彼が、そう訊ねる。 「やっぱり、まだここにいた」 「俺も、あんたは絶対ここに戻ってくるって思ってたけど」 そう答えた彼は無表情で、何を考えているのかは読めない。 「……それ、昼飯?」 突然話を変えた彼は、綺乃の左手を指さしながら言った。 .
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