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「お前って、無表情で、何考えてんのか分かんねぇな」
「奇遇だね。私も同じこと、思ってた」
そう返した綺乃は、コーヒーの缶を口に運んだ。
そこで会話は一度途切れ、メロンパンの袋が擦れる音がやけに大きく響いた。
「あんた、昼休みはいつもここに来んの?」
不意に口を開いた彼に少し驚きながらも、こくんと頷く。
「うん。大体は」
「毎日独りで?」
「……うん」
「あんた、友達いねぇんだ?」
あぁ、コイツはきっと“気遣い”ってものを知らない人間なんだな。
そう思ったが、綺乃は何でもないように答える。
「作らないだけ」
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