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あの角を曲がれば、校門までの一本道だ。
綺乃は、更に速度を上げる。
角を曲がると、学校が見えた。
あと少し、そう思った瞬間、無情にもチャイムが鳴る。
立っていた数人の教師らが重たい門を閉めて、校舎に引き上げていく。
だが、綺乃は走るのをやめなかった。
閉まっている門に向かって、スピードを緩めることなく走り続ける。
生徒会役員と思われる二人の生徒がまだそこに残っていて、綺乃に気が付いたようだった。
それを無視して、綺乃は強くアスファルトを蹴った。
校門の上に手をつき、ふわりと空中に浮いた身体を捻る。
投げ出された足が、門の向こう側に着地した。
先ほどの二人の生徒は、唖然として綺乃を見ている。
「……セーフ?」
肩で息をした綺乃が訊ねたが、返事は返ってこなかった。
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