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と、木崎二等兵が叫ぶと、近くに砲弾が着弾し、その爆発音に私は鼓膜が破れるかと思った。
「コ二等兵、こっちに来い。ホ二等兵、お前はイ一等兵とキム一等兵から手榴弾をもらってこい。」
木崎二等兵はそう叫び、私は言われた通りに手榴弾をもらってきた。
「二人共、俺についてこい!!」
「どうするんです?」
カンフォが聞いた。
「説明してる暇はない、行くぞ!!」
私とカンフォは木崎二等兵につづいた。
「おい、お前ら。勝手な行動をとるな!!」
我々に気付いたヤン伍長が叫んだ。
「伍長殿達は、ここで応戦して下さい。」
木崎二等兵は、そう叫び返した。
「あの野郎、逃げやがった。」
「いや伍長、彼はホとコを連れて行きました。何か策があるんでしょう。逃げるなら一人で逃げるはずです。」
―お前、あいつの手先か?―
ヤン伍長はそう言おうとしたが、言う間もなく銃砲弾が飛んできたので応戦を続けた。
私とカンフォは木崎二等兵につづき敵の背後へと回った。
「いいか、俺が合図したら手榴弾を敵に向かって投げ込め!!投げたら一斉射撃だ、いいな?」
「はい。」
「よし、腹に力を入れろ!!」
そして合図と同時に私達は手榴弾を全部投げ込み、それが次々に爆発した。
「今だ、一斉射撃だ!!」
木崎二等兵はBARをぶっぱなし、私とカンフォも無我夢中でM1小銃を撃ちまくった。
前方の丘で次々に手榴弾の爆発が起きた。
「あいつらがやったのか?」
ヤン伍長が言う。
「今がチャンスですよ、伍長。みんな撃て。」
手榴弾の攻撃で怯んだ敵の小隊は更に上と下からの挟み撃ちに完全にパニック状態となり、全滅したのであった。
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