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キム・ソンボク一等兵が一人生き残りを捕まえた。
その捕虜は「殺さないで下さい」と悲痛な叫びを上げた。
「黙れ!!赤野郎。」
ヤン伍長は怒鳴り、その捕虜を殴った。これにキム・ソンボク一等兵が続いて、その捕虜に暴行を加え、驚いた事にカンフォまでが、蹴りを入れていた。
「もういい、よせ。」
カン・ソンギ上等兵がとめに入った。
「伍長、こいつを連行しましょう。」
捕虜は何度も「お助け下さい、命だけは」と、訴えていた。
「黙れ!!」
カンフォが叫んだ。こんなに怒り狂ったカンフォを私は初めて目にした。
そしてヤン伍長はホルスターから拳銃をぬき、捕虜のこめかみにあて、ためらう事なく引き金を引いた。
私は思わず吐いてしまったが、ヤン伍長・イ・キム一等兵とカンフォは笑みを浮かべ、カン・ソンギ上等兵は目をふせ、木崎二等兵は無表情で煙草に火を点けていた。
その時私は、頭を吹っ飛ばされ死んだ捕虜を眺めながら笑っている四人に、恐怖を感じたのであった。
そしつ…我々は無事大隊に戻った。
我が分隊が敵の一個小隊を全滅させた事は、下がり続けていた大隊の士気を急上昇させ、味方捕虜への虐殺行為の話が大隊全体へと広まった。
今にして思えば、この味方捕虜への虐殺行為が…きっかけになったのかもしれない。
心に宿る悪魔が目覚めたのは…
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