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王位に就いてから今まで仕事一筋だった。
周りの狸爺共に嘗められないように気を張り続けていたが、ここ数年笑ったことなどあっただろうか…
花見も子供の時に一度しただけだ。
だが、そんな花見もすぐに終わってしまった。
こうして誰かとのんびり花を見たことなどない。
時を忘れそうになるほど穏やかに流れる時間があることなど今まで知らなかった。
隣に立つ娘が目の前に現れるまでは…
「陛下?…どうしたの?急に黙り込んで」
「……リーレイだ」
「は?」
「俺の名はリーレイだ」
「…いや、知ってるけど…?」
ミナミは様子がおかしいリーレイを訝しく思いながら、下から顔を覗き込む。
いきなりどうしちゃったわけ?頭でも打った!?
突然のことに、ミナミも頭が少し混乱している。
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