序章 始まりの唄

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3ヶ月だ。待ちに待ってようやく手に入れたゲームが今、己の手を離れ、道路に落ち、壊れようとしている。 そんなの嫌だッ!冗談じゃないっての! 無意識に手が伸びていた。 「…!取ったッ!!」 空中で掴み取ったゲームを前に、笑みが浮かんだ。 私、何てラッキーなのかしら!…なーんて思ったその瞬間、アンラッキーの間違いだったことに気が付いた。 手すりから大きく身を乗り出した私の背中を押すように突風が通り抜けた。 運がツいてない時はとことんツいて無いもので、手すりが古かったのか、ポキッと小気味いい音を立てて真っ二つに折れた。 ウッソーン!!ありえなーい! 体は宙に投げ出され、道路に真っ逆さま。 あ、マジで終わったわ、私の人生。 最後に駅前に新しく出来たケーキ食べ放題の店に行きたかったなー… 目を閉じ覚悟を決め衝撃を待った。 .
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