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「ーーってことで私暇なんですけど」
太陽が燦々と輝く午後二時を過ぎた頃。
私は余りの暇さに退屈し、夫であるリーレイの仕事場、つまり執務室に来ていた。
なぜ暇かと言うと、結婚式を挙げて早3日、何の予定も入っていないからだ。
結婚式を挙げる前は、やれ食事のマナーだ、やれダンスの仕方だと事細かに身に付けさせられたが、結婚式後のパーティーは一週間後だと言うし、じゃあこの国について教えてもらおうと歴史の先生を探せば休暇中だと言われた。
だったらこのバカ広いお城を侍女さん達に案内してもらおうとしたが、恐縮しきって倒れた子が出たためそれも諦めた。
そうすると、何もする事がないのだ。
「……どうしたら“ってことで”に繋がるんだ?」
元々あった深い眉間の皺を更に深くし、執務室で己の部屋のごとく寛ぐミナミにリーレイは切れ長の目を向けた。
ミナミは目の前に用意されたお菓子に手を伸ばし、剣呑さを含んだその視線を意に介さずそれを口に放り入れた。
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