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「あれ、マリアさんじゃないっすか~!!」
とある休日、横浜へ訪れていたマリアの耳に聞き覚えのある声が入る。この辺りに自分以外の外国人の姿はなく、呼ばれた方向へ振り返るとそこには見慣れないスーツを着た男がいた。
「えーと……どちら様でしょうか?」
「武田ですよ!ベロムーチョ武田!!」
「武田さん?本当に“あの”武田さんなの?」
「“あの”ってどういう意味っすか!“あの”って!?」
「信じられないわ……もし本物なら、ちゃんと反応してくれるはず」
そう言って指を鳴らすと、どこからともなくサンバの音楽が流れ、男は突然踊り出す。
………10分後
「ど、どうですか……これで信じてもらえたでしょう?」
息を荒くしながら話す武田にニコリと笑みを浮かべてマリアは改めて挨拶をする。
「そういえば、さっきモギリの奴を見ましてね?見掛けない女と歩いてたんですよ…誰なんすかね?」
『ピシッ』
「あれ?今、何か変な音がしたような……?」
「………武田さん?その二人はどこへ行ったの?」
「マ、マリアさん?……その笑顔が怖いんですけど」
「早く質問に答えてくれる?」
カチャリと額に冷たい感触がすると、武田は震えながら指を指すのであった。
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