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発見
しばらく歩いていると、マリアは女性と歩く大神の姿を見つける。
(一体、誰なのかしら…?)
どこかで見たことのあるような気がする女性なのだが、なかなか思い出すことができない。
そんな疑問を浮かべながら尾行すると、二人は喫茶店の中へ入ってしまった。
窓際に座るのを確認すると、マリアは慌てて隠れて様子を窺うが、どうやら大神は女性を慰めているように見受けられる。
(どんな関係なのかしら……まさかとは思うけど、許嫁だったりしないわよね?)
さまざまな不安が頭をよぎる中、マリアはふと声を掛けられる。
「あの~すみません、道をお尋ねしたいんですが…」
そう声を掛けてきたのは外国人だった。鮮やかなスーツに身を包む男は、どこかつかみどころがない印象を受ける。
「いや~日本には初めて来たんですが、どうやら道に迷ってしまったみたいで…」
「それは大変でしたね…どこへ行きたいのですか?」
「浅草という場所なんですが…」
マリアは手に持っていた手帳に簡単な道順を書くと、その紙を破って男に渡す。
「ありがとう…このお礼はいつかさせてもらいますよ」
そう言って男はその場を去って行った。
再び店内を見ると、いつの間にか大神と女性は消えていたのだった。
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