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支配人室の前に来た。念の為、大神がいることを事務室で確認しているので、中にいることは確かだろう。マリアは意を決して扉をノックした。
「支配人、少しお伺いしたいことがあるのですが…」
「マリアかい?鍵はかかってないよ」
「失礼します」
入室するといつもと変わりない様子で大神は椅子に腰掛けていた。
「…それで?聞きたいことっていうのは?」
「はい…支配人は今日の昼頃、どこかへ出掛けていましたよね?」
「ああ、確かに横浜まで出掛けていたけど…」
「実は私も横浜へ出掛けていたんです。…その時、支配人に似た人物が金髪の女性と歩いているのを目撃したものですから、関係あるのかと」
目撃したという言葉に一瞬、動揺した仕草を見せる大神の姿をマリアは見逃さなかった。とっさに追撃態勢に入るが、勢いよく扉が開く音によって遮られた。
「一体、どういうことなんですか!?大神さん!!」
「その辺りのお話、詳しく聞かせてもらいたいですわねぇ」
「お兄ちゃんはアイリスの恋人なんだよ?浮気なんかしちゃダメなんだから!」
「さくらくん、すみれくんにアイリスも……って、すみれくんがどうしてここに!?」
「あら、大神さんたら…野暮なことをお聞きになるんですのね」
「どうしてすみれさんが顔を赤くなるんですか!」
「遊びに来たら誰もいなかっただけでしょー」
「お黙りなさい!」
突然入ってきて口論を始めるすみれ達についていけないマリアと大神は同時にため息を吐いた。
こうして、いつもと変わらぬ休日は過ぎていくのであった。
END
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